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星を見る少女の話

星を見る少女

作者未詳

私は明け方、最後まで太陽の光に対抗して闇を照らす12個の明け方の星に運命の星を見ることができる唯一の存在。
黄金色の目は人の過去を、現在を、そして未来を照らす運命の星が見えている。
だが、それは生と死の境から星が照らす道を見ること、それが私の運命。
―あなた、あなたの星を見たい?


-1-
星を見る存在

星を見る存在はラベファナの一族、だからラベフェナが魔女になる前だった妖精の一族の中で、百年余りに一人ぐらい稀に生まれてくる。
その存在は黄金色の目で人を照らしている運命の星を見て、その人の運命を見ることができて運命の星を動かして運命を変えることができる力を持つようになる。
だが、光があれば闇もあり何か1個だけあっては他の1個はやはり意味が無い、不幸の星が照らしている人の運命を動かして幸運の星が照らすようになれば、その不幸の星は星を見る存在自身に照らすようになる。
結局、その不幸の星は自らが永遠に不幸の星に暮れることになる―それが星を見る存在である。

-2-
孤独な少女

妖精の一族で生まれて自分が妖精である自覚もない程の幼い少女はある日、訳も分からないまま一人で人間の街の中心に立っていることになる。
わずか数時間前まで母の手を握っていたのに、今はその手には何もなく、もう片手には幼いころから持っていた人形だけが残っている。
いつも笑顔だった少女の顔から笑顔を見ることはなかった。
生まれて初めて感じる恐れ、一人残されたという孤独に少女はどんな表情をすれば良いのか分からなかった。
全てが嘘のようで、夢のようだった。
鏡を見るのが好きだった少女は自分の黄金色に変わった瞳について話しただけなのに。
だんだん現実の感覚がなくなっていった。そして少女の顔から感情の表情がだんだん消えていき、感情表現が消えていく感覚さえ消える頃、少女は誰かが自分の頭を撫でてることに気が付く。

-3-
少女と占いおばば

“あなたの黄金色の目はあなたの運命を語っている。
誰よりも重く、誰よりも悲しいけど誰もわかってくれない。そんな運命…
今まで一度も神が決めた運命に逆らったことは無いが、あなたが私に付いてきたことで黄金色の目があなた自身のための未来を見ることができるようになれば良い。”
顔と肌から歳月を感じられる老婆は少女にそう言っていた。
その時、少女はそれが何の話なのか、どんな意味なのか分からなかった。
でも、幼い少女にも確かに分かることはあった。
もう少女に戻る場所はないということ。
“元々あなたは妖精の名前を持っていたはず。あなたのことをエイルと呼んでも良い?”
少女は無表情でただ首を頷くだけだった。
そして少女はずっと自分と一緒だった可愛い人形をその場に置いて自分の頭を撫でてくれた老婆の後に付いていった。

-4-
少女とラベフェナ

少女の記憶の中、断片的で不明確なお話の中に魔女になって一族を離れた誰かの話があった。
少女が占いおばばと一緒に暮らすようになったのも1年余り、それまでの少女の記憶の中の話は、今では一族に伝わる昔話だけだった。
占いおばばと一緒に暮らすことになって1年余りが経ったその年の冬が来る前までは。
少女が6歳になる年の冬だった。
アステカの冬の寒さはスノーヒルには比べ物にはならないが、遺跡に漂うエネルギーのためなのか風は身を切るように冷たかった。
でも、そんな冷たさでさえ少女は感じ取ることができなかった。
占いおばばと一緒に住むようになってから少女は外出することも、誰かに会うこともなく、ただ書斎で古くなった本を読むだけだった。
ある日いつもと変わらない日だった。
書斎で星と運命に関する書籍を読む少女はふと普段と違うことを感じる。
1年前のあの日、感情というものを失った少女の全身から感じ取られる妙な感情―なんだか深くしみる懐かしさと切なさ―それを少女はなんと言えばいいのか分からなかった。
誰かが自分を見ている。誰だろう、どうしてこういう感情を感じ取れるのだろう。
でも、少女はそういう感情表現が無かった。いや、表現する方法が分からなかった。
少女を見ていた相手はきっと少女が自分の存在を悟ったことに気が付いていない。しかしそんなことはどうでも良かった。
彼女はただ少女を遠くからでも見たかっただけで、少女はいつものような日を送るだけだった。

-5-
少女とカチューシャ

少女の頭の中に昔聞いた一族の話が浮かんだ。
魔女になって消えてしまった妖精の話、断片的でぼんやりしていたその話が突然はっきりと一つになった。
窓の外を通り過ぎる銀髪の女性と目が合った時だった。
魔女だ。
確かに話の中のあの魔女だ。
1、2秒―いや、それよりも短かったかも知れない。
その間少女にはあるものが見えた。
少女の黄金色の瞳は他の人が見えないものも見えた。
時間が過ぎて日が沈む頃、少女は読んでいた本を閉じて外に出た。
白くて透明な少女の肌に冷たい風の感触。
少女は魔女を見た窓側へゆっくりと歩いていった。
そこに落ちていたのは大きな星飾りのカチューシャ、紫色のカチューシャはすごく少女らしいデザインでありながら何となく明るいだけではないようなイメージを与えた。
“バカ魔女。”
少女は感づいた。
その魔女は自分と同じような血が流れていることを。
自分のように一族から離れなくてはならなくなった、自分の姉であることを。

-6-
星を見る少女

星、運命、占い。
20年余りずっとそんな単語に囲まれて暮らしてきた少女だが、自ら接するのは本の知識だけで、別に考えたり、行動したりすることはなかった。
占いおばばは少女がそんなことに興味を持つことを嫌った。
20年程前、一族と家族に捨てられた自分を拾ってくれた占いおばばに逆らいたくなかった。
また少女の部屋には鏡が無かった。
鏡を見るのが好きだった記憶も今は深い深淵の中に存在するだけ。
鏡がないからといって不便なことはなかった。
また、少女は外に出ることも他の誰かに会うこともなかった。
占いおばばも尋ねてくるお客さんに少女の姿を見せないように注意を払っていた。
透明で白い肌と茶色の長い髪、感情のない瞳と表情を持った少女の姿はただ人々が気付かない程度の噂として存在していた。
誰にも会うことがない少女にはもう鏡は必要なかった。
そんなある日、占いおばばが外出し少女だけが家にいる日だった。
いつものように書斎にいた少女は、突然吹いてくる風を感じることができた。
窓が開いたのか、少女は書斎へ向けていた視線を窓の方に移した。
開いたわけではない。音も聞こえなかったがいつの間にか窓は割れていた。

-7-
ガラスに映る少女

片付けなきゃ…と思って立ち上がったその時だった。
割れたガラスの破片に映っている自分を見た。
20年余ぶりに見た自分の姿、そこには26才とは信じ難いほど小さくて細い姿が映っていた。
そして少女の白い顔とは対照的な深くて黒い空間がガラスの破片の中の少女の後に広がっていた。
空間が開かれる。
空間が深くなっていく。
そしてより一層深まっていく中でその姿がはっきりしていく。
暗い。
光さえも感じられない。だから何も見えない。
いや、何も見えないのは当然だ。なぜなら光さえなかったのだから。
だが、少女の目には鮮明に見えた。
闇の中に動いていたそれは、巨大な鎌を持ち上げたままガラスの破片の中の少女の姿。彼女が後ろに立っていた。

-8-
少女の瞳

驚いて振り返った少女の目には何も見えなかった。
そこは普段と変わらない占いおばばの書斎だった。
少女はゆっくりと手をあげて自分の顔を触ってみた。
黄金色の瞳がある所、まさにその周囲を。
そして少女は悟った。
自分の運命を、いつか不幸と闇に沈んでしまうその未来を。
少女は書斎を飛び出し、そのまま家を飛び出した。
20年ぶりに見る街、20年ぶりに見る人々。
だが、そういう風景を見ている余裕が少女にはなかった。
20年ぶりに感じる恐れの感情。少女は無我夢中になって走った。
どこに向かっているかも分からないまま、ただ走るだけだった。
他の事は考える余裕もなかった。
恐れという感情から逃げたいだけだった。
どのぐらい走っただろう。小さい少女の体力がもう走ることに耐えられなくなった時、少女は苦しく息をしながら古い塀に体を寄り添った。
何も見たくなかった。
何も感じたくなかった。
だが、少女は他の人が見ることができないものも見えていた。
それが少女に恐れを感じさせていた。
『黄金色の瞳がなければ』
見なくても済む、感じなくても済むはずだ。
少女は頭を上げて空を眺めた。
もうすでに夜になって暗くなった空は、数多くの星が白く光っていた。
空の全ての星は誰かの運命を照らしてくれる。
それを見れるのが少女の運命であり、少女が持った黄金色の瞳。
つまり、黄金色の瞳がなければそのような運命も消えることになる。
少女の白くて細い指はいつの間にかゆっくりと黄金色の瞳の方に向かっていた。

-9-
少女の決意

“お姉ちゃん、痛いの?”
少女の耳に誰かの声が聞こえた。子供の声、少女の目の前には小さな体格の男の子が未だに苦しく息をしている少女をぼんやり眺めていた。
その男の子は静かに少女に近づき、自分の額と少女の額を触ってみた。
“お姉ちゃん熱があるね。病院に行こうよ!”
その男の子が何かを話していたが、少女の耳には何も聞こえなかった。
少女の黄金色の瞳には見えていた。
そして少女が見ている男の子を照らしている運命の星は語っていた。
病院にいかなければならないのは少女ではなくその男の子だと。
“邪魔しないで。”
冷たく言ってしまった少女、その男の子はびっくりして泣きながら少女がいる路地を抜け出した。
わずか数時間後の自分の運命も分からないまま、他の人のことを心配する。そんなバカみたいな人は本当に興味ない、本当に。
“バカのせいで私を照らす不幸の星が1個追加…”
少女は寄り添っていた体を起こした。
そしてまた夜空の星を眺めた。
バカみたい、皆バカばっかり!でも、自分自身もやはりバカ…こういうバカな運命を受け入れることにしたから。
少女は歩き、男の子が抜け出た道に沿って路地を抜けた。
もう戻ることはない。
占いおばばのところにも、自分を捨てた一族のところにも、そしてバカ魔女のところにも。
もう戻ることはない。
少女の運命は少女一人で歩まなければならない。
それが少女の運命であり彼女の選んだ道だから。

-完-
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コメント

No title

記事関係ないですけどブログと漢字問題がんばってくださいw b

No title

はるさあああああん><
私とPC両方が死んでました。
明日からちょこちょこINしますのでよかったらまた一緒に旅してください(´・ω・`)
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